1. 概要
本検証テストでは、ストレージの筐体間コピー機能を利用し、本番NetVault環境で取得したバックアップデータを災対環境へコピーし、災対NetVault環境でコピーされたバックアップデータからリストアができることを確認しています。
本検証テストではNetVault 12.3で次のバックアップ / リストアを実施しています。ストレージはFUJITSU Storage ETERNUSを使用しています。
- 本番環境のVMware ESXi上の仮想マシンをNetVault VMware Pluginでバックアップを取得
- バックアップの保管先はNetVault VTL機能で構成したVTL(ETERNUS上のボリューム)とした
- 取得したバックアップをETERNUS SF AdvancedCopy Managerの筐体間コピー(REC)機能で本番環境のETERNUSから災対環境のETERNUSへコピー
- RECでコピーされた災対環境のETERNUSを災対環境のNetVaultに追加
- 災対環境のETERNUSにコピーされたセーブセットから災対VMware環境(代替)へ仮想マシンをリストア•災対VMware環境(代替)へリストアされた仮想マシンの起動確認
2. 検証環境
- NetVault: 12.3
- NetVault VMwareプラグイン: 12.3.2
- バックアップ保管・コピー先ストレージ
- 本番環境: ETERNUS DX200 S5
- 災対環境: ETERNUS DX500 S4
- コピー機能: ETERNUS SF AdvancedCopy Manager CCM 16.8A
- VMware環境
- ESXi 6.7U3(本番環境・災対環境)
- vCenter Server Appliance 6.7U3(本番環境・災対環境)
3. 検証手順・項目
3.1. 事前作業
(1) ストレージ(FUJITSU Storage ETERNUS)側で筐体間コピーを設定
- 筐体間コピーの設定方法については、ETERNUS側のマニュアル等を参照して実施してください。
- 本検証テストでは
- NetVaultのVTL領域として使用しているETERNUSのボリュームを筐体間でコピーするように設定しています。
- 本番系のETERNUS:DX200 S5から災対サイトのETERNUS:DX500 S4へコピーしています。
- 筐体間コピーはETERNUS側で管理・実施されます。NetVaultとは連動していません。
[筐体間コピーの設定確認例]
3.2. 本番系でバックアップ
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(1) NetVaultサーバをインストール
(2) バックアップデバイスとしてVTLを構成
(本検証テストではETERNUSの領域にVTLを構成します)
(3) NetVaultクライアント・VMwareプラグインをインストールし、vCenterを登録
(4) 仮想マシンをバックアップ
(5) NetVaultデータベースをバックアップ
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(1)NetVaultサーバをインストール
NetVaultサーバをインストールします。インストール方法については、以下URLの「NetVault12.x簡単設定ガイド」を参照ください。
https://www.quest.com/community/jp-ja/w/data-protection-wiki/952/netvault12-0-x-3
(2) バックアップデバイスとしてVTLを構成
バックアップデバイスとしてVTLを構成します。本検証テストではETERNUSの領域にNetVault VTLを構成します。VTLの構成方法については、「NetVault12.x簡単設定ガイド」の第5章を参照ください。
VTLの構成情報が 「<NetVault Install Directory>/config/」配下の「diskdevices.cfg」に保存されています。災対系でVTL設定時に使用するので、保管します。
(3) NetVaultクライアント・VMwareプラグインをインストールし、vCenterを登録
NetVaultクライアント・VMwareプラグインをインストールし、VMwareプラグインにvCenterを登録します。
NetVaultクライアントのインストール方法については、 「NetVault12.x簡単設定ガイド」 を参照ください。
プラグインのインストールおよびvCenterの登録方法については以下URLを参照ください。
https://www.quest.com/community/jp-ja/w/data-protection-wiki/933/vmware-plugin
本検証テストでは、VMwareプラグインの『サーバアドレス』にFQDN(vcentera.nv.com)を指定して、vCenter(VCSA)を登録しています。
vCenterが登録されると配下のESXi・仮想マシンが表示されます。
(4) 仮想マシンをバックアップ
バックアップジョブを設定し仮想マシンをバックアップします。
「バックアップジョブ作成」の「セレクション」で「+」をクリックします。
「NetVault Backupセレクション」でクライアントの「VMware Plugin」 をドリルダウンしてバックアップ対象の仮想マシンを選択し、セレクション名を指定して保存します。
バックアップ先のターゲットストレージに3-2(2)で作成したVTLを指定します。
本検証テストでは 、「ターゲットストレージ」に「ETERNUS_VTL」を指定し、「スケジュール」は「即時」を指定し、右下にある「保存&実行」ボタンを選択してバックアップを実行しています。
ログなどで正常終了を確認します。
(5) NetVaultデータベースをバックアップ
NetVaultデータベースのバックアップを取得します。バックアップを特定のメディアに取得するため「メディアグループ」を作成し、メデイアを登録します。本検証テストではメディアグループ名を「NVDB_MG」で作成し、メディアを1本登録しています。
「バックアップジョブ作成」の「セレクション」で「+」をクリックします。
「NetVault Backupセレクション」のフォームがでますので、「NetVaultデータベース」を選択します。
「Set Name:」にセット名を入力して「保存」を選択して設定を保存します。
本検証テストでは、
- 「ターゲットストレージ:」はNetVaultデータベースバックアップ用に作成したメディアグループ「NVDB_MG」を指定します。
- 「詳細設定」の「バックアップ寿命」をフルバックアップ5回のセットを作成し指定します。
- 「プラグインオプション:」、「スケジュール」はデフォルトを使用します。
「ジョブ名:」を入力し、「保存&実行」を選択してNetVaultデータベースのバックアップを取得します。
3.3. 災対系でリストア
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(1) 本番系が利用不可能な状態を想定しているため、本番系のNetVaultサーバを停止
(2) NetVault・NetVault VMware Pluginをインストール
(3) NetVaultサーバにETURNUSを設定
(4) NetVaultに(2)で設定した領域をVTLとして構成
(5) 本番系でNetVaultデータベースのバックアップ取得したテープをスキャン
(6) NetVaultサーバを復旧
(7) 本番系で取得した仮想マシンを災対サイトのVMware ESXiにリストア
(8) 仮想マシンの起動を確認
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(1) 本番系が利用不可能な状態を想定しているため、本番系のNetVaultサーバを停止
本番系のNetVaultサーバのNVDBを災対系のNetVaultサーバにリストアするため、NetVaultサーバは本番・災対系で同じ名前にする必要があります。そのため、本番・災対系で同時にNetVaultサーバを起動できませんので、災対系でリストアを行う場合、本番系のNetVaultサーバのシステムを停止、または、NetVaultサービスを停止する必要があります。
(2) NetVault・NetVault VMware Pluginをインストール
本番系のNetVaultサーバと同じOS、同じNetVaultバージョン、同じホスト名で災対系にNetVaultサーバをインストールします。プロキシサーバにNetVaultクライアント、VMwareプラグインをインストールし、災対系のvCenterを登録します。
NetVaultサーバおよびクライアントのインストール方法は、「NetVault12.x簡単設定ガイド」 を参照ください。
VMwareプラグインのインストールおよびvCenterの登録方法については、次のURLを参照ください。
https://www.quest.com/community/jp-ja/w/data-protection-wiki/933/vmware-plugin
(3) 災対系NetVaultサーバにETERNUSを設定
ETURNUS REC機能でコピーした災対系ETURNUSの領域をNetVaultサーバのマシンにマウントします。マウントポイントは本番系を同じ名前にします。マウントする際、RECをサスペンドする必要があります。サスペンド方法などREC操作については、ETURNUSのマニュアルなどを参照してください。
[REC(筐体間コピー)のサスペンド例]
(4) NetVaultに災対系にコピーしたETURNUS領域をVTLとして構成
3-2(2)で保管した本番系NetVaultサーバの 「diskdevices.cfg」 を災対系のNetVaultサーバにコピーします。
コピー先:<NetVault Install Directory>/config
[「diskdevices.cfg」例]
「diskdevices.cfg」 コピー後、NetVault VTLを構成します。
「デバイス管理」→「+デバイス追加」で「以前作成された仮想デバイスを再追加」を選択し、災対系ETERNUSにRECコピーされている本番系NetVaultのVTLのコピーをデバイスとして登録します。
(5) 本番系でNetVaultデータベースのバックアップ取得したテープをスキャン
登録されたVTLのメディアは“外部”メディアになっているので、「スキャン」を実行してメディア内の情報をNetVaultに登録します。
本検証テストではNetVaultデータベースのバックアップを取得したメディアを 「スキャン」します。
「スキャン」が終了するとNetVaultデータベースバックアップのセーブセットがリストされます。
(6) NetVaultサーバのデータベース復旧
「リストアジョブ作成」にリストされたNetVaultデータベースのセーブセットを選択し、NetVaultデータベースをリストアし復旧させます。ログをリストアすると災対系NetVaultサーバのログが本番系サーバのログに置き換わってしまうため、本検証テストでは「ログ」 以外をリストアします。リストアのプラグインオプションはデフォルトを使用しています。
NetVaultデータベースのリストアが実行されるとサービスが停止されるため、NetVaultのサービスを起動します。
NetVaultサーバでサービスを起動後、Web UIでNetVaultにログインします。
NetVaultデータベースがリストアされ、本番系NetVaultサーバのNetvaultデータベースのバックアップを取得した時点の状態になっています。
NetVaultクライアントも本番系NetVaultサーバに登録した本番系NetVaultクライアントが登録されています。
仮想マシンのバックアップを取得したバックアップジョブのセーブセットがリストされています。
(7) 本番系で取得した仮想マシンを災対サイトのVMware ESXiにリストア
「クライアント管理」 からVMwareプラグインをインストールした災対系NetVaultクライアントを登録します。VMwareプラグインをインストールしていない場合は、インストールします。災対系NetVaultクライントのVMwareプラグインに災対系vCenterを登録します。
「リストアジョブ作成」から仮想マシンをリストアします。
「プラグインオプションの編集」 で 「仮想マシンをvCenterにリストア」 を選択し、
代替データストア、代替ESXIiホストアドレス、代替vCenterアドレス、ユーザ名、パスワードを設定します。
vCenter、ESXiをFQDNで登録している場合は、FQDNでアドレスを指定してください。
vCenter、ESXiをIPアドレスで登録している場合は、IPアドレスを指定してください。
クライアント指定は本番系クライアントが指定されているので、VMwareプラグインがインストールされている災対系クライアントを指定します。ジョブ名を指定し「保存&実行」を選択してリストアを実行します。
本番系と災対系のESXiのネットワーク構成が異なる場合、次のKBに該当する警告メッセージが出力されることがあります。その場合、リストア後に手動で仮想マシンのネットワークを設定してください。
https://support.quest.com/ja-jp/netvault/kb/260097/
Plug-in for VMware 11.1 以降でバックアップ時と異なる ESXi ホストへリストアした場合に仮想 NIC が削除される (260097)
(8) 仮想マシンの起動を確認
災対系でリストアされた仮想マシンの起動を確認します。
以上が本検証テストで実施した手順になります。
- 本ドキュメントは、検証作業や検証結果についてまとめたものを紹介しているものであり、本ドキュメントに関する内容について、クエスト・ソフトウェア株式会社が動作を保証するものではありません。各ソフトウェアのバージョンおよび環境等の違いにより動作しない場合も想定されますので、導入の際には事前に検証をされることを推奨いたします。
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作成:2020年12月