NetVault Tips #032

ディスク装置のスナップショット機能を使用した場合、Primaryボリュームのアーカイブ・ビットはバックアップの影響を受けないため、差分バックアップがうまく行えないことがあります。NetVaultでは "アーカイブ・ビットの無視" という設定を行うことで、こうした環境下で差分バックアップが可能になる場合があります。今回のTipsではこの設定方法をご紹介します。

1. ここでは次のような構成を想定しています。ディスク装置には、EMC AX100iを使用します。Primaryボリュームは業務用とします。SecondaryボリュームはPrimaryボリュームのスナップショットで、バックアップ・サーバにマウントされ、バックアップに使用されます。
    
    
   PrimaryボリュームであるH:ドライブには、testというフォルダがあり、その中に、a.txt、b.txt、c.txtという3つのファイルがあります。
    
2. 典型的なバックアップの手順として、まずPrimaryボリュームをバックアップ可能な静的な状態にします。ここでは、ボリュームのFlushを行います。この操作は業務用サーバ上で行います。
   

   C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>admsnap_win2k3 flush -o h: Flushed H:.   C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>

3. 次に、スナップショットを作成します。この操作も業務用サーバ上で行います。
   

   C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>admsnap_win2k3 start -s mysnap -o h: Attempting to start session mysnap on device \\.\PhysicalDrive1. Attempting to start the session on the entire LUN. Started session mysnap. C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>

4. 作成されたスナップショットをバックアップサーバにマウントします。この操作は、バックアップ・サーバ上で行います。ここでは、z:ドライブとしてactivateしています。
   

   C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>admsnap_win2k3 activate -s mysnap -d z: Scanning for new devices. User specified drive letter z: Activated session mysnap on device z:. C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>

    
    
5. NetVaultのFile Systemプラグインでフルバックアップします。
    
    
6. バックアップ・サーバ側で、SecondaryボリュームをDeactivateします。
   

   C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>admsnap_win2k3 deactivate -s mysnap Deactivated session mysnap on device Z:. C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>

7. 業務用サーバ上で、スナップショットを停止します。
   

   C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>admsnap_win2k3 stop -s mysnap -o h: Stopped session mysnap on object H:. C:\Program Files\EMC\Navisphere Server Utility (AX)>

8. Primaryボリュームに変更を加えます。ここでは、a.txtの内容を変更します。
    
    
   再度、スナップショットを作成し(手順 2、3、4を繰り返す)、その後、差分バックアップを行います。
   この時、バックアップオプション・タブの "アーカイブ・ビットの無視" のチェックボックスはDefaultのままチェックしないでおきます。また、"バックアップされたファイルのログ"として"c:\uncheck.log"を指定します。次に行うバックアップと同じ条件にするために、"増分タイプ" を "最後のフルバックアップからの変更" とします。
    
9. バックアップ対象となったファイルを確認するためにc:\uncheck.logを見ると、下記のようになります。各ファイルのアーカイブ・ビットを評価して差分バックアップを行うので、a.txtだけではなく、b.txtとc.txtも差分バックアップの対象として取得されます。
    
   ・ Z:\
   ・ Z:\test
   ・ Z:\test\a.txt
   ・ Z:\test\b.txt
   ・ Z:\test\c.txt
10. 次に、別ジョブとして、バックアップオプションにある "アーカイブ・ビットの無視" という設定をして差分バックアップを行います。"バックアップされたファイルのログ"として"c:\check.log"を指定します。また、"増分タイプ" を "最後のフルバックアップからの変更" とします。
     
11. バックアップ対象となったファイルを確認するためc:\check.logをみます。差分バックアップとして
    変更を加えたa.txtだけが取得されたことが確認できます。
     
    ・ Z:\
    ・ Z:\test
    ・ Z:\test\a.txt

このように、アーカイブ・ビットを無視する設定を行うことで、Windowsシステム上においてもスナップショットを介した差分バックアップが可能になります。この時NetVaultは、タイムスタンプやファイルサイズを元に差分を検出しています。

尚、上記でご紹介した運用方法は、ディスク装置のスナップショットの動作にも依存します。導入の際には、必ず使用するディスク装置を用いて事前検証を行ってください。