このシリーズでは、定番バックアップソフトウェアNetVault Backup (NVBU) 最新バージョン9.0.1で、VMwareの仮想マシンなどをバックアップするところまでを、くわしく解説していきます。
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今回はOracleなどのデータベースやVMware仮想環境などバックアップを行う際のサーバの構成・配置について解説してみます。
> NetVault Backup の機能を拡張するプラグイン(オプション)
NetVault Backupは、
Windows / Linux / UNIXなどの物理環境や VMware / Hyper-V などの仮想化環境に対応した、
OS混在環境のデータ保護が得意な統合管理バックアップ・ソフトウェアです。
アプリケーション用オンラインバックアップオプション、ディザスタ・リカバリオプション、NAS用NDMPオプション、暗号化オプションなど様々なNetVault Backupオプションを用意しています
NetVault Backupでは、これらのオプション機能をプラグインと呼びモジュール構造化しており、
各種プラグインを追加することで、お客様のご要望に合わせたバックアップ環境を構築することが可能です。
図3-1: NetVault Backupのプラグイン一覧
1~5. | 標準プラグイン: | NVBUサーバインストール時のデフォルト |
6. | Workstationクライアント: | Windows7などのクライアントOS用 |
7. | アプリケーション専用プラグイン: | アプリケーションオンラインバックアップ用 |
8. | NVBU プラグイン: | アプリケーション以外、仮想化環境やNAS用 |
> アプリケーション専用プラグイン
NetVault Backupのアプリケーション専用プラグインオプションは、
Oracle、Microsoft SQL Server、DB2といった商用データベースだけでなくオープンソースの MySQL、PostgreSQLにも対応しています。
他にもInformix、SAP、Sybase、Microsoft Exchange、SharePointなど基幹業務に使用されているさまざまなアプリケーション・データのオンライン・バックアップを可能にします。
これらアプリケーション専用プラグインは、アプリケーションが稼働しているマシン側にNVBUクライアントとともにインストールします。
たとえば、
図3-2: DBサーバ構成例とアプリケーションPlug-inインストール先
・Oracleが稼働しているDBサーバ側にNVBUクライアントとOracle Plug-inをインストールします。
・WEBサーバがMySQLを使用している場合、WEBサーバ側に、NVBUクライアントとMySQL Plug-inをインストールします。
各Plug-inをインストールしたあと、Plug-inで各DBの設定をするとバックアップできるようになります。
(※各Plug-inの設定など詳細については今後とりあげていく予定です)
図3-3: Oracle Plug-in バックアップ選択画面
制御ファイル・テーブルスペース・アーカイブログだけでなく、
Listener.oraなどネットワーク設定ファイルやパスワードファイルもバックアップ選択可能。
図3-4: MySQL Plug-in バックアップ選択画面
MySQLの場合はデータベース単位、テーブル単位のバックアップ選択が可能
> VMware ESX仮想環境用プラグイン
VMware ESX仮想マシンをオンラインバックアップする VMware Plug-inは、
DB系アプリケーション用プラグインと異なり、
NVBUサーバまたはNVBUスマートクライアントにインストールします。
VMware ESXや仮想マシンにはインストールしません(エージェントレス)
図3-5: VMware環境構成例とVMware Plug-inインストール先
図3-6: VMware Plug-in バックアップ選択画面
仮想マシン単位にバックアップ選択可能
!ポイント:NetVault BackupのVMware Plug-in(Enterprise Edition)は、VMware ESX(の台数や、ホストのCPU数)や仮想マシン(の台数)に依存しません。
図3-7: ESXホスト数、仮想マシン数にかかわらず
VMware Plug-inでバックアップ可能
また、vCenterサーバについては、
vCenterが使用しているMicrosoft SQL Serverのデータも
NVBUクライアントとMicrosoft SQL Server Plug-inをインストールすることによりバックアップ可能です。
> 新規システムでNetVault Backupを導入したら、ついでに既存環境のバックアップも見直しましょう
NetVault Backupであれば、さまざまなOSやその上で動作するさまざまなDBをバックアップすることができます。
新規システムでNetVault Backupを導入することになったら、既存環境のバックアップ運用を見直してみましょう。
たとえば、以下に該当する場合
□ | 部門で個別に導入していてバックアップ担当者がいないので放置している |
□ | バックアップ装置を買っていないので放置している。大切なデータもあるのだが・・・ |
□ | これから仮想化する(P2V)予定だが、バックアップしていないので、バックアップしておきたい |
□ | 導入時期などの都合により複数のバックアップソフトを別々に調達してしまい、別々にバックアップしている |
□ | CA ARCserve の旧製品でLinux版を導入していたが、現行ではLinux版がないのでバージョンアップできていない |
□ | Symantec Backup Execは、OSS(CentOS、MySQL、PostgreSQL)のエージェントが無いのでWindowsとLinuxのバックアップを個別にしている |
それらもまとめてNetVault Backupでバックアップしてしまいましょう
(例)既存システムに導入したBackup Execに OSS(CentOS、MySQL、PostgreSQL)のエージェントが無く、ARCserveの最新版ではLinux版が無いため、統一した運用ができない
図3-8: 既存環境でバックアップできていないマシンの見直し
既存環境のうち、
既存バックアップソフトでサポートされていないためにバックアップしていなかったOSやDBアプリケーションを洗い出して、これらはNetVault Backupでバックアップすることを検討しましょう。
最終的にバックアップソフトをNetVault Backupに一本化して、バックアップの統合管理・運用ができれば、管理コストをさげることもできます。
以下のバックアップの統合管理の図3-9は、Backup ExecとARCserveをそれぞれNVBUスマートクライアントに置換えたシナリオです。
(NVBUスマートクライアントについてはバックナンバー:第2回NetVaultの構成―大規模構成を参照ください)
図3-9: 既存システムも含め、漏れなくNetVault Backupでバックアップ統合
> バックアップ対象が多くなったら、NetVault BackupとDR4x00重複除外の組み合わせもアリ
VMware仮想環境では、1台のホストVMware ESXサーバ上で多くの仮想マシンが動作します。
仮想マシンのバックアップ先には重複排除ストレージを利用すると、同じOSのOS部分やアプリケーション部分などが重複排除されるので、効率よくバックアップできます。
VMware環境だけでなく従来の物理サーバ環境でもOSが同じサーバのバックアップ先として、
重複除外ストレージを利用すると、同じOSのOS部分やアプリケーション部分が重複排除されるので、効率よくバックアップできます。
バックアップ対象が多くなればなるほど、DR4x00(インライン重複除外バックアップストレージ)を導入するコストメリットがでてきます。
図3-10: バックアップ統合管理運用に重複排除ストレージを組み合わせた例